第4回|輪になって語り受け止める

他者とつながる体験で回復

他者に売られ、さまざまな暴力にさらされる人身取引サバイバーの多くは、自己と他者の関係性に深刻なトラウマを抱えています。トラウマが彼らの人生に与える影響は大きく、多くは自分の内側に閉じこもるようになり、生きる力を奪われることもあります。

ではこの種の対人トラウマを解決できるのは専門家だけなのでしょうか。私は「心理社会的プログラム」によって、彼らのレジリエンスが元のバネの力を取り戻す例を数多く見てきました。

例えば、インド南部のセックスワーカーのグループ「Vimukthi(ヴィムクティ)」。メンバーの多くは子どもの頃、家族の生活費などを稼ぐため、性産業に押しやられ、救出されないまま今も働いています。いつも暴力と隣り合わせで、人としての尊厳を奪われながら歩んできた女性たちです。

このグループと行ったのが「ビーズの輪」というワークショップ。25人ほどで輪になって座り、オブジェを持った1人の話者が名前を名乗ってから、今の自分の気持ちなど、皆に聞いてもらいたいことを語ります。周りの人はその言葉を全身で、静かに受け止めます。

名前を伝えることで「私」を大事にする・してもらう空気が生まれ、話者は自分の心の奥を見つめ、言葉を紡ぐことができるようになります。

さらに、周囲が自分の言葉に耳を傾ける姿によって「聞かれる」という感覚も得られます。他者とつながる体験をすることで縮こまったレジリエンスの力が戻ってくるのです。

このグループは「集中力が持続しない」と聞いていましたが、朝から夕方まで続いたワークショップの間、誰もその場を離れたり、携帯電話を触ったりしませんでした。その後、メンバーが息を吹き返したように精力的に活動するようになったことは言うまでもありません。

ワークショップの後、過去4年間の活動を振り返る「Vimukthi」のメンバー

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